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 2003年からパリで暮らし、作家、映画監督、歌手として活動する辻仁成氏が12月17日、パリで初めてのライブを行った。

『JINSEI -Blues Japon-』と題して披露された、この日のライブ。芸術家や若者が集う、バスティーユの裏路地にあるライブハウス"LA SCENE BASTILLE"に集まったのは、日本人8~9割とフランス人客。中には日本から駆けつけた熱心なファンも居たようだ。

 辻氏がパリでライブを行うのは初めてのこと。パリ暮らしを始めて2年、ようやく生活が落ち着いてきたこともあり、今回のライブが実現されたようだ。パリに暮らしている日本人としてもっとも有名なひとりである、辻氏。そして久々の音楽活動。「パリで彼がどんなライブを披露するのか?」。多くの人がきっとそんな好奇の目で足を運んだに違いない。

 ライブの幕開けは『花』。そして、『春夏秋冬』、『上を向いて歩こう』と、日本が誇る、永遠の名曲が続いた。そして『ZOO』をはじめとする氏のオリジナル代表曲や、ジョン・レノン『イマジン』や、ビートルズ『Let it be』、 フランス語詞で書かれた曲も披露された。

 ライブタイトルのとおり、ものすごくジャパニーズ・ブルースな夜。クリスマスムードで彩られ、イルミネーション華やかなパリの街の一角で、"大和魂"が響き渡る。そして異国の地で外国人として暮らす私たちの心に、その声は深く染み渡った。

 会場はあっと言う間に、辻氏の世界に引き込まれた。そしてありがちな、ライブ開始直後の緊張感も、「ヘタクソなフランス語でゴメンナサイ……」とフランス人を含む観衆を前に頭を下げた辻氏の微妙なフランス語が、逆に会場の雰囲気を和ませていた。

 辻氏がこの日のライブで歌い上げた曲は、日常や人生を嘆きながらも、それらを受け入れて、力強く生きていこうじゃないか、というものが多かったような気がする。MCで彼は「パリに来て2年間、トラブルだらけだ」と、つたないフランス語で語った。 そして最初に覚えたフランス語が「C'est pas grave(大したことじゃないよ)」や「Tant pis(仕方ないさ」と宣い、その後もことあるごとにその言葉を発し、会場の笑いと共感を誘っていた。

 おそらく多くの人がこの言葉に安堵したと思う。社会的に成功している、辻氏でさえ、やっぱり一般人と同じように、いろいろと大変なんだ……と。そして私たちは、パリという外国で暮らす苦労をその瞬間に語らずしも共有したように思う。

 そして、辻氏が今なぜパリであえて歌おうと思ったのかは、彼の口から直接語られるまでもなく、訪れた人の多くが音楽を通して感じ取ることができたように思う。

 ライブで味わう、いろいろな意味での一体感。外国人として暮らすということは、つまりそれは、常に余所者であるという疎外感をどこかで感じることのほうが多い毎日。それがこの夜は、しばらく忘れかけていた一体感を得るということの“喜び”を再び思い出すことができ、会場に足を運んだ多くの人が、とても温かい気持ちでパリの寒空の下を帰路に着いたのではないだろうか。

 機会があれば、辻氏にはぜひまたこんなライブをやってほしいと思う。

(text par Emi.K)


※下記サイトで今回のライブ音源を配信中。
Excite Music Store:
http://www.excite.co.jp/music/store/special/jinsei/
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